※本記事は2026年7月29日時点の情報をもとに作成しています。
2026年ドラフトで、阪神タイガースが1位指名を検討してほしい選手がいます。
青山学院大学の捕手、渡部海(わたべ・かい)。
大学日本代表では主将を務め、打線では4番、守備では正捕手としてチームを引っ張った。さらに、青山学院大学では入学直後から東都大学野球1部の正捕手を任され、阪神の下村海翔をはじめとする好投手たちのボールを受けてきた。
「打てる捕手」というだけでも魅力的だが、渡部を評価したい本当の理由は、それだけではない。
捕手として積み上げてきた試合経験、好投手の能力を引き出すコミュニケーション力、強豪チームで勝ち続けてきた経験。そのすべてを含めて、阪神の次世代正捕手候補として非常に興味深い存在です。
一方で、阪神には嶋村麟士朗や中川勇斗、町田隼乙ら若手捕手もいる。大学通算打率も、圧倒的な数字というわけではない。
それでもドラフト1位を使う価値があるのか。
この記事では、渡部海の大学時代の成績や国際大会での実績、捕手としての身体の使い方をトラ技師目線で確認しながら、阪神との相性をじっくり診ていきたい。
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渡部海とは?青山学院大学の主将を務めるドラフト上位候補
まずは渡部海の基本プロフィールを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 渡部 海 |
| 読み方 | わたべ かい |
| 所属 | 青山学院大学 |
| 学年 | 4年 |
| ポジション | 捕手 |
| 投打 | 右投右打 |
| 身長・体重 | 180cm・92kg |
| 出身高校 | 智辯和歌山高校 |
| 代表歴 | 2022年U-18日本代表、2025・2026年大学日本代表 |
| 2026年大学日本代表 | 主将・背番号1 |
身長と体重については、青山学院大学公式では180cm・88kg、2026年大学日本代表名簿では180cm・92kgと掲載されている。計測時期による違いが考えられるため、本記事では最新の大学日本代表名簿をもとに180cm・92kgとしています。
智辯和歌山から青山学院大学へ
渡部は智辯和歌山高校で甲子園を経験し、3年時には侍ジャパンU-18日本代表にも選ばれました。
高校日本代表では捕手として登録され、現在プロで活躍する同世代の選手たちと国際大会を経験している。高校時代から、強豪チームの捕手として勝敗の重さを背負ってきた選手です。
青山学院大学へ進学すると、1年春から東都大学野球1部リーグに出場。入学した2023年春から2025年秋まで、青山学院大学は東都1部で6季連続優勝を達成している。
2023年と2024年には全日本大学野球選手権を制覇。2024年と2025年には明治神宮大会でも優勝した。
渡部は、その常勝チームの中心でマスクをかぶり続けてきた。強い投手の球を受けた経験だけでなく、負ければ優勝を逃すような試合を何度も経験していることは、プロ入り後を考えても大きな財産でしょう。
1年生で阪神・下村海翔のボールを受けた捕手
阪神ファンとして見逃せないのが、渡部と下村海翔の関係です。
渡部が青山学院大学へ入学した2023年、4年生だった下村はエースとして大学日本一に貢献した。その下村や、広島からドラフト1位指名された常廣羽也斗のボールを、入学直後の渡部が受けていました。
年齢差のある上級生投手に遠慮するのではなく、堂々と接しながら投手陣を支えたことが報じられている。常廣は渡部について、キャッチングへの安心感や、感情の波を表に出さない姿勢を高く評価しています。
もし阪神が渡部を指名すれば、大学時代にバッテリーを組んだ下村とプロで再び出会うことになる。
ドラフトは人間関係だけで決めるものではない。それでも、下村の球質や考え方を知る捕手が阪神に加わる未来は、虎党としてかなり胸が高鳴るでしょう。
なぜ渡部海は2026年ドラフト1位候補なのか
渡部がドラフト上位候補として注目される理由は、捕手として守れるだけではない。
打線の中心を任せられる打力、大学球界トップクラスの試合経験、そしてチームをまとめる力を兼ね備えているからです。
希少価値の高い「打てる正捕手候補」
捕手は、プロ入り後に覚えなければならない仕事が非常に多い。
投手ごとの球種や性格を理解し、相手打者のデータを頭に入れ、配球を組み立てる。ワンバウンドを止め、盗塁を阻止し、守備陣に指示を出す。
これらをこなしながら、打席でも結果を求められます。
守備力の高い捕手はいても、正捕手として出場しながら打線の中軸まで担える選手は多くない。その両方を期待できることが、渡部の大きな価値だ。
2026年の大学日本代表では主将に選ばれ、WCBCでは4番・捕手を中心に起用された。国内の大学野球だけでなく、日本を代表する選手が集まるチームでも中心を任された事実は重いでしょう。
東都1部で5度のベストナイン
渡部は2023年春に東都大学野球1部の新人賞を受賞し、捕手部門のベストナインにも選ばれた。
その後も表彰を重ね、2026年春には5度目となるベストナインを受賞しています。
一度だけ好成績を残したのではない。投手力の高い東都1部で、複数年にわたって捕手として評価されてきた。これこそ、渡部のドラフト評価を支える土台です。
大学日本代表の主将を任された信頼感
主将経験が、そのままプロでの成功を保証するわけではない。
それでも、所属大学の異なる投手と短期間で関係を作り、日本代表をまとめながら自分のプレーも維持することは簡単ではない。
捕手は、試合中に誰よりも多く投手と会話するポジションだ。
投手が何に困っているのか。決め球に自信を持てているのか。力みが出ていないか。ベンチが何を求めているのか。
そうした情報を拾いながら試合を進める必要がある。
2026年の大学日本代表で渡部が主将に選ばれたことは、技術だけでなく、周囲との関係づくりやチームを率いる姿勢も評価されている証拠でしょう。
渡部海の大学時代の成績
渡部の東都大学野球1部リーグ、全国大会、国際大会での主な成績は次のとおりです。
| 区分 | 試合 | 打率 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 東都1部通算 | 82 | .252 | 69 | 9 | 42 | .343 | .420 |
| 全国大会通算 | 20 | .270 | 17 | 2 | 15 | .403 | .413 |
| 大学日本代表通算 | 9 | .321 | 9 | 0 | 5 | .424 | .464 |
※東都1部は2026年春季リーグ終了時点。全国大会は全日本大学野球選手権と明治神宮大会、大学日本代表は2025年日米大学野球と2026年WCBCの集計。
通算打率.252をどう評価するか
大学通算打率.252だけを見ると、「本当にドラフト1位候補なのか」と感じる読者もいるかもしれない。
実際、2023年秋は打率.176、2024年春は.179、2025年秋も.159と、打撃で苦しんだシーズンがある。
渡部を、毎季安定して3割以上を残してきた完成型打者として評価するのは違うだろう。
一方で、2024年秋には打率.356、2025年春にも.324を記録している。捕手として試合に出続けながら、好調時には東都1部でも高い打撃成績を残せることを示した。
重要なのは、通算打率だけで「打てる・打てない」を決めないことだ。
捕手としての守備負担を抱えながら9本塁打、42打点を記録し、全国大会では出塁率.403。長打と出塁の両方で打線へ貢献している。
プロで中軸を打てると断定はできないが、下位打線で守備だけを期待される捕手ではなく、打撃でも相手に警戒される可能性を持った選手である。
2026年春は打率以上に出塁能力が光った
2026年春季リーグでは12試合に出場し、39打数11安打で打率.282。1本塁打、10打点を記録してます。
さらに注目したいのが、9四球、5死球を含む出塁率.463と、三振がわずか4個だった点だ。一球速報の集計ではOPSも.899に達している。
相手投手から警戒される中で、ボール球に手を出さず塁へ出る。
これは非常に価値があります。
本塁打を量産するタイプではなくても、打率以上に出塁し、走者がいる場面では打点を挙げる。捕手がこの役割を果たせれば、打線のつながりは大きく変わる。
阪神でいえば、8番打者が簡単にアウトにならず、投手または代打を挟んで近本光司や中野拓夢へつなぐ形を作れる。
捕手が打てることで得られる効果は、本人の打率以上に大きいです。
国際大会では前年の苦戦から大きく修正
2025年の日米大学野球では5試合に出場し、打率.188。16打数3安打、3打点と、安打数は伸びなかった。
ただし、最終戦では犠牲フライと2点適時二塁打で3打点を挙げ、日本の完全優勝に貢献しています。
翌2026年のWCBCでは、4試合で12打数6安打、打率.500。二塁打2本、2打点、5四球を記録し、三振はゼロだった。
日本は決勝でアメリカを破り、WCBC初代王者に輝いた。渡部は主将としてチームを率いながら、4番・捕手として攻守を支えた。
国際大会は試合数が少ないため、打率.500だけでプロでも打てるとは言えない。
それでも、前年に苦しんだ国際舞台で翌年は数字を大きく伸ばした。異なるタイプの投手や環境に対し、自分の打撃を修正した結果として評価したいです。
渡部海の打撃をトラ技師目線で分析
渡部は、大学日本代表発表時で180cm・92kg。
捕手として厚みのある体格を持つが、単に身体が大きいから打球が飛ぶわけではない。
強い打球を生み出すには、下半身で地面から受けた力を、骨盤、体幹、肩、腕、バットへ順番に伝える必要がある。
いわゆる運動連鎖だ。
捕手としての土台が打撃にも生きる
捕手は守備中、低い姿勢から立ち上がる動作を繰り返す。
股関節や膝関節を曲げた状態から、素早く身体を持ち上げて送球する。下半身と体幹を連動させる能力が求められるポジションです。
渡部の体格は、捕球姿勢を安定させるだけでなく、打撃時に軸を保ち、強いスイングを生み出す土台にもなり得る。
もちろん、映像や身長・体重だけから筋力や関節の状態を判断することはできないです。
トラ技師として注目したいのは身体の大きさそのものではなく、その身体を捕球、送球、打撃の各動作で効率よく使えているかという点です。
長打だけでなく四球を選べることが強み
渡部の打撃で魅力的なのは、本塁打数だけではない。
2026年春は39打数で9四球、5死球。国際大会でも5四球を記録した。相手から警戒されてもストライクゾーンを広げず、出塁につなげている。
プロ入り後、大学時代と同じように長打を打てるとは限らない。
しかし、ボールを見極める能力があれば、打撃の適応に時間がかかっても出塁という形で一軍に貢献できる可能性がある。
阪神の捕手として考えれば、ホームランを20本打つ必要はない。
打率.250前後でも四球を選び、勝負どころで長打を打ち、守備で投手陣を支えられる。そんな捕手に育てば十分すぎるほど価値があります。
課題はシーズンを通した安定性
一方、打撃成績に波がある点は無視できない。
打率3割を超えたシーズンがある一方で、1割台に終わったシーズンも複数ある。
プロでは大学以上に球速が上がり、変化球の精度も高くなる。捕手として相手打者や投手の情報を覚えながら、自分の打撃も維持しなければならない。
渡部がプロで打てる捕手になるためには、好調時の打撃をどれだけ長く維持できるかが一つのポイントになりそうだ。
トラ技師が診る渡部海の捕手能力
捕手の評価で目立ちやすいのは、盗塁を刺した場面や二塁送球タイムだ。
しかし、捕手の送球は肩の強さだけで決まらない。
ボールを捕ってから握り替え、右足と左足を運び、骨盤と体幹を回転させ、腕を振る。その一連の動作が途切れずにつながることで、初めて速く正確な送球になる。
二塁送球は「肩」より動作全体を見る
ドラフト・レポートに掲載された複数の計測例では、渡部は二塁送球で1秒85から1秒95前後を記録している。計測条件が統一された公式記録ではないため単純比較はできないが、素早い送球動作を持つことを示す材料にはなる。
トラ技師目線で見るなら、注目したいのはタイムだけではない。
捕球した位置から身体の中心へボールを素早く運べているか。立ち上がる際に上半身だけが先に開いていないか。送球後に身体が大きく崩れていないか。
動作がコンパクトであれば、実戦で多少体勢が崩れても送球の再現性を保ちやすい。
さらに、盗塁阻止は捕手だけの仕事ではない。投手のクイック、けん制、二塁手や遊撃手のタッチも関係する。
送球タイムだけで捕手能力のすべてを判断しないことも大切です。
ブロッキングは投手の決め球を生かす
捕手にとって、ワンバウンドを止めるブロッキング能力は非常に重要だ。
投手が「低めに落としても止めてくれる」と信頼できれば、走者がいる場面でもフォークやスプリットを思い切って投げられる。
青山学院大学で渡部とバッテリーを組んだ常廣は、フォークを投げても逸らさないという安心感があったと評価しています。
これは阪神との相性を考えるうえでも興味深い。
下村をはじめ、落ちる変化球を決め球とする投手を生かすには、捕手が後ろへ逸らさないという信頼が欠かせない。
打てるだけでなく、投手が最も自信のある球を思い切って投げられる環境を作る。それができる捕手なら、投手陣全体へ与える影響は大きい。
リードは外から簡単に評価できない
捕手の記事では「リードが良い」「配球が悪い」といった評価をよく見かける。
ただし、外部から一球だけを見てリードの良し悪しを断定することは難しい。
ベンチから配球の方針が出ている場合もあれば、投手が首を振って別の球を投げることもある。投手の当日の状態や、相手打者のデータも外からすべて分かるわけではない。
そのため渡部を評価する際も、配球結果だけではなく、投手との会話、失点後の対応、ピンチでの間の取り方などを含めて見ていきたいです。
大学日本代表で主将を任され、初めて組む投手たちをまとめた経験は、その点でもプラス材料になるでしょう。
渡部海は阪神の補強ポイントに合っているのか
2026年の阪神には、梅野隆太郎、坂本誠志郎、伏見寅威という経験豊富な捕手がいる。
その下には、町田隼乙、藤田健斗、中川勇斗、嶋村麟士朗ら若手捕手もそろっている。捕手の人数そのものが不足しているわけではない。
それでも、渡部を指名する意味はある。
若手捕手がいても渡部を取るべき理由
渡部を指名することは、嶋村や町田ら既存の若手捕手を見切ることではない。
捕手は一人だけで年間を戦い抜くことが難しく、故障や投手との相性、打撃状態によって複数人を使い分ける必要がある。
また、若手捕手が全員順調に成長する保証もない。
一人の候補へ正捕手の未来を託すのではなく、特徴の異なる選手を競わせる。渡部を加えることで、阪神の次世代正捕手争いをさらに高いレベルへ引き上げられる。
中川の打撃、町田の身体能力、藤田や嶋村の成長、そして渡部の総合力。
この競争から正捕手が生まれれば、阪神にとって理想的ではないだろうか。
大卒捕手だからこそ世代交代に間に合う
大学生捕手であっても、入団直後から一軍の正捕手になれるとは限らない。
プロの投手や打者を覚え、捕球や送球を磨き、年間を通じて身体を維持するには時間がかかる。
それでも高校生捕手と比べれば、東都1部、全国大会、国際大会で豊富な経験を積んだ渡部は、一軍競争へ入るまでの距離が比較的短い可能性がある。
梅野や坂本らから捕手としての準備、試合中の考え方、投手との関係づくりを学べる期間に入団させることにも意味がある。
世代交代が必要になってから捕手を取るのでは遅い。
経験豊富な捕手がいる今だからこそ、次の候補を獲得して育ててほしい。
まとめ|渡部海は阪神の次世代正捕手候補になれる
渡部海は、青山学院大学で1年春から正捕手を務め、東都1部で5度のベストナインを受賞した捕手だ。
大学日本代表では主将を任され、2026年WCBCでは4番・捕手として初代優勝に貢献した。
大学通算打率は.252。打撃に波がある点や、プロの投手への対応は今後の課題になる。
それでも、長打力と出塁能力を持ち、送球、ブロッキング、投手とのコミュニケーションを含めた総合力は魅力的だ。
そして阪神ファンとして見逃せないのが、青山学院大学で下村海翔のボールを受けてきた経験である。
渡部を指名することは、既存の若手捕手を諦めることではない。
中川、町田、藤田、嶋村らと競わせ、阪神の次世代正捕手争いそのものをレベルアップさせる指名だ。
捕手の世代交代は、必要になってから始めても間に合わない。
経験豊富な梅野、坂本、伏見がいる今のうちに、次の正捕手候補を獲得して育てる。
その意味で、トラ技師は2026年ドラフトにおける阪神の1位・渡部海指名に賛成だ。
甲子園で下村海翔の球を受け、満員のスタンドを背に投手陣を引っ張る渡部海。
そんな未来、ちょっと見たすぎる!

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